2014年7月2日水曜日

弁護士業界と広告

(十年以上前の大学時代の記憶をもとに書いているため不正確な部分があるかもしれませんし,思いつきで書いている部分もあります。その点はあらかじめご了承ください)
・囚人のジレンマ
囚人Aと囚人Bは共同して犯罪を行った。
①囚人Aと囚人B双方が犯罪行為を行ったことを自白した場合
 →それぞれ懲役5年
②囚人ABの片方のみが自白をし,片方は自白をしなかった場合
 → 自白した側:無罪放免 ⇔ 自白しなかった側:懲役10年
③囚人AB双方が自白をしなかった場合
 →それぞれ懲役2年
上記の設定下で,もしあなたが囚人Aであったとして,以下お読みください。
α:囚人Bが自白すると仮定
 α1:自分も自白する
   →懲役5年
 α2:自分は自白しない
   →懲役10年
 ⇒自分は自白した方が得
β:囚人Bが自白しないと仮定
 β1:自分は自白する
   →無罪放免
 β2:自分も自白しない
   →懲役2年
 ⇒自分は自白した方が得
小括;囚人Bが自白した場合であっても,自白しなかった場合であっても,自分は自白した方が得
ここで,囚人Aと囚人Bの条件は同じ⇒囚人Aが自白した方が得であれば,囚人Bも自白した方が得
結論:囚人Aも囚人Bも自白した方が得なので,双方自白という結果になり,それぞれ懲役5年となる。
本当にそうでしょうか?・・・双方自白しなければ,どちらも懲役2年・・・
・共有地の悲劇
羊100頭分の牧草がある共有の牧草地を思い描いてください。
そこには5人の羊飼いがいて,それぞれ,20頭の羊を飼っています。
現在,羊1頭は100万円で売ることができますが,羊を100頭を超えて育てると,牧草が足りず,栄養不足になって,1頭ふやす毎に1万円ずつ羊の価格が下がってしまいます。
あなたが羊飼いだっとして,以下お読みください。
もし,あなたが,今年から一頭多くの羊を育てることにすると,
    あなたの売上:(100-1)×(20+1)=2079 万円
前年のあなたの売上:100×20=2000 万円
小括:あなたは前年より多く羊を育てた方が得
ここで,羊飼いの条件は皆同じ
結論:羊飼いは皆前年より多く羊を育てた方が得
本当にそうでしょうか?皆が1頭多く育てると,1頭当たりの単価は5万円下がりますので,
あなたの売上:(100-5)×(20+1)=1995 万円 
   (前年は2000万円)
また,牧草地全体で考えた場合でも,
       前年の売上:100×20×5=1億円
各々一頭増やした場合:(100-5)×(20+1)×5=9975万円
・弁護士業界と広告
弁護士業界も自由化の流れを受けて,TVCMやラジオCMが行われることもめずらしくはなくなってきましたし,宣伝広告をコンサルタント会社(バラエティに富んでいるようです。債務整理関係では,元貸金業者や元出資法違反業者が,過去の反省も込めてかどうかは知りませんが,市民のリーガルサービスへのアクセス向上の為,宣伝広告事業を行っているという噂を耳にすることもあります。)に任せる事務所も増えているようです。
広告競争が進んだ場合,弁護士の売り上げは増えるのでしょうか?
弁護士業界の売り上げは増えるのでしょうか?
弁護士,弁護士業界が,収入(利益)を維持することを目的に,
a:相談者に広告費用を転嫁する
b:弁護士ではなく,無資格者が処理する分量を増やすことでコスト削減をはかる
といったことにはならないのでしょうか?
あなたはどう考えますか?
かくいう私も,金額の大小はあれ(TVCMしているところとは桁が何個も違いますし,比較的安価なラジオCMに関しても勧誘を受けましたがお断りをしています)宣伝広告をしていますので,aとbの弊害を生じさせないように注意をしなければならないと強く心に思っています。
文京区本郷の弁護士 柏木恭平(東京弁護士会 柏木法律事務所)

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